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食卓の安心のために:「遺伝子組み換えでない」表示と有機食品の違いを解説

Tags: 遺伝子組み換え, 表示制度, 有機食品, オーガニック, 食品表示, 食の安全

食の安全に対する関心が高まる中、スーパーなどで食品を選ぶ際に、「遺伝子組み換えでない」という表示や、「有機JASマーク」を目にすることがあるかと思います。どちらも安心できる食品の目印のように思えるかもしれませんが、これらは異なる基準に基づいています。

この記事では、「遺伝子組み換えでない」という表示が持つ意味と、有機食品(オーガニック)の基準である有機JASについて、それぞれの違いを分かりやすく解説します。これらの表示を正しく理解することで、皆様の食卓選びの一助となれば幸いです。

「遺伝子組み換えでない」表示とは?

日本の食品表示制度において、「遺伝子組み換えでない」という表示は、特定の農産物やそれを原材料とする加工食品に任意で表示できるものです。この表示ができるのは、主に以下の条件を満たす場合です。

重要な点として、「遺伝子組み換えでない」という表示は、遺伝子組み換え技術を使っていないことを示すものであり、それ以外の栽培方法(例えば、農薬や化学肥料の使用状況など)については何も保証していません。あくまで、遺伝子組み換えに関する情報を提供する表示です。

有機食品(オーガニック)とは?

「有機食品」や「オーガニック」と呼ばれる食品は、日本の場合は「有機JAS規格」という国の定めた基準に基づいて生産された食品を指します。この有機JAS規格は、遺伝子組み換え技術の使用についても定めていますが、それだけではありません。

有機食品は、遺伝子組み換え技術を使用していないという側面に加えて、環境保全や生態系との調和にも配慮した、より広範な生産方法を保証するものです。

両者の違いを比較する

| 項目 | 「遺伝子組み換えでない」表示 | 有機食品(有機JAS) | | :------------------- | :---------------------------------------------------- | :---------------------------------------------------- | | 主な焦点 | 遺伝子組み換え技術を使用していないこと | 遺伝子組み換え技術不使用を含む、総合的な生産方法 | | 保証する内容 | 対象原材料に遺伝子組み換え作物が一定基準以下しか含まれていないこと | 環境保全にも配慮した、化学合成物質に頼らない生産方法 | | 対象となる基準 | 食品表示法に基づく任意表示の基準 | 有機JAS規格という国の定めた厳しい基準 | | 認証・マーク | 特定のマーク義務なし(任意表示) | 有機JASマークの表示が必須(認証機関の認証が必要) | | 農薬・肥料 | 基準なし(使用していても表示可能) | 化学合成の農薬・肥料は原則使用しない |

最も大きな違いは、「遺伝子組み換えでない」表示が遺伝子組み換え技術の使用に焦点を当てているのに対し、有機食品は遺伝子組み換え技術不使用を含む、より広範な生産方法や環境配慮までを基準としている点です。

つまり、「遺伝子組み換えでない」と表示されている食品は、遺伝子組み換え作物が一定基準以下であることは保証されますが、有機的に生産されたとは限りません。一方、有機JASマークが付いている食品は、有機JAS規格の基準を満たしており、その中に遺伝子組み換え技術を使用しないという項目も含まれています。

まとめ:賢い食品選びのために

「遺伝子組み換えでない」表示も、有機JASマークも、消費者が食品を選ぶ際に役立つ情報を提供するためのものです。

これらの表示がそれぞれ何を意味し、何を保証しているのかを理解することが、賢く食品を選ぶための第一歩となります。

どちらが良い、悪いということではなく、ご自身の食の安全や環境に対する考え方、価格なども考慮して、どのような基準で作られた食品を選びたいのかを判断する材料としてください。

遺伝子組み換え作物に関する情報は多岐にわたります。表示の意味を正しく理解し、根拠に基づいた情報を得ることで、食卓に対する漠然とした不安を解消し、安心して食品を選べるようになることを願っております。