GMOフロンティア

遺伝子組み換え作物ってどうやって作るの?身近な例で学ぶ技術の仕組み

Tags: 遺伝子組み換え, 技術, 仕組み, 安全性, 食品

はじめに:遺伝子組み換え作物って一体どうやって生まれるの?

スーパーで買い物をしていると、「遺伝子組み換えでない」と書かれた商品を見かけることがありますね。遺伝子組み換え作物について、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、そもそも遺伝子組み換え作物とは、一体どのようにして作られているのでしょうか?

なんだか難しそうな技術に思えるかもしれませんが、その基本的な考え方は、私たちが品種改良で行ってきたことと似ている部分もあります。ここでは、遺伝子組み換え技術が具体的にどんなことをしているのかを、できるだけ分かりやすくご説明したいと思います。

遺伝子組み換え技術の基本的な考え方

私たちの体や、普段食べている野菜や果物、お肉など、すべての生き物には「遺伝子」があります。遺伝子は、その生き物がどんな特徴を持つかを決める設計図のようなものです。例えば、「病気にかかりにくい」とか、「たくさん実をつける」といった特徴も、遺伝子によって決まっています。

遺伝子組み換え技術とは、この設計図の一部を少しだけ変更したり、他の生き物から良い特徴を持つ遺伝子を持ってきて組み込んだりする技術です。こうすることで、これまでにはなかった新しい性質を持つ作物を作り出すことができるのです。

遺伝子組み換え作物はどうやって作られる?その仕組み

では、具体的にどのような手順で作られるのでしょうか。基本的な流れは以下のようになります。

  1. 目的の遺伝子を見つける まず、「病気に強くする」「特定の成分を多く含むようにする」など、作物に持たせたい新しい性質を決めます。そして、その性質を持つ遺伝子を、他の生き物(植物や微生物など)の中から探し出します。

  2. 目的の遺伝子を取り出す 探し出した目的の遺伝子を、特別な方法を使って、もとの生き物から取り出します。まるで、設計図の中から必要な部分だけを切り取るようなイメージです。

  3. 目的の遺伝子を作物に入れる 取り出した遺伝子を、今度は目的の作物(例えば、育てたいイネやダイズなど)の細胞の中に入れます。このとき、いくつかの方法が使われますが、代表的なものに「アグロバクテリウム法」や「パーティクルガン法」といった技術があります。

    • アグロバクテリウム法: これは、植物に感染する性質を持つ「アグロバクテリウム」という微生物の力を借りる方法です。アグロバクテリウムは、自分の遺伝子の一部を植物の細胞に入れる性質があるため、そこに組み込みたい遺伝子を乗せて作物に感染させることで、目的の遺伝子を作物の細胞に送り込むことができます。
    • パーティクルガン法: これは、目的の遺伝子をコーティングしたとても小さな金の粒などを、専用の装置を使って作物の細胞に直接打ち込む方法です。まるで、遺伝子の弾丸を細胞に撃ち込むようなイメージです。
  4. 新しい作物として育てる 目的の遺伝子が入った作物の細胞を、試験管の中で増やし、苗にします。そして、その苗を畑で育てて、種子を収穫します。こうしてできた作物が、遺伝子組み換え作物です。目的の遺伝子がきちんと働き、狙った性質を持っているかを確認しながら栽培が進められます。

私たちの身近な例で考えてみる

例えば、ある種類のトウモロコシが特定の害虫に食べられやすく、農家さんが困っているとします。ここで遺伝子組み換え技術を使うと、その害虫が嫌がる成分を作る遺伝子を他の植物などから探し出し、トウモロコシに組み込むことができます。すると、そのトウモロコシは害虫に食べられにくくなり、農薬の使用量を減らせる可能性があります。

また、ビタミンAが不足している地域のために、体内でビタミンAに変わる成分をたくさん含むように改良された「ゴールデンライス」というお米の開発も進められています。これも、遺伝子組み換え技術によって、お米の遺伝子に特定の遺伝子を組み込むことで実現されたものです。

このように、遺伝子組み換え技術は、作物が持つ本来の性質に、特定の新しい性質を加えることで、食料生産の課題を解決したり、栄養価を高めたりすることを目的として使われています。

安全性や課題についても知っておきたいこと

もちろん、新しい技術には慎重な議論が必要です。遺伝子組み換え作物の安全性については、国が厳格な審査を行っており、科学的な根拠に基づいて安全性が確認されたものだけが流通を許可されています。しかし、長期的な影響や、環境への影響、倫理的な問題など、様々な角度からの議論や懸念の声も存在します。

当サイトGMOフロンティアでは、こうした安全性に関する国の考え方や、環境への影響、表示制度などについても、多角的な視点から分かりやすく情報を提供しています。遺伝子組み換え技術の仕組みを知ることは、そうした様々な議論を理解するための第一歩となるでしょう。

まとめ

遺伝子組み換え作物を作る技術は、自然界でも起こりうる遺伝子の変化を、私たちの目的のために人工的に行うものです。病気に強くしたり、栄養価を高めたりと、さまざまな可能性を持っています。

この技術について正しい知識を持つことは、私たちが日々の食卓について考える上でとても大切です。今後も、遺伝子組み換え作物に関する様々な情報に触れ、ご自身の目で確かめて判断していくためのヒントとしていただければ幸いです。