買い物の前に知っておきたい:遺伝子組み換え作物が使われがちな食品と表示のポイント
遺伝子組み換え作物は身近な食品にも使われている?
スーパーでの買い物中、「この食品には遺伝子組み換え作物が使われているのかな?」と立ち止まって考えたことはありますか?遺伝子組み換え作物については、安全性や表示について様々な情報があり、何が正しいのか迷ってしまうこともあるかもしれません。
GMOフロンティアでは、遺伝子組み換え作物について多角的な視点から情報を提供していますが、今回は特に、私たちの食卓や日々の買い物に直結する「どのような食品に遺伝子組み換え作物が使われやすいのか」という点に焦点を当てて解説します。
主に使われる遺伝子組み換え作物と、その用途
遺伝子組み換え技術が利用されている作物はいくつかありますが、世界的に生産量が多く、日本にも輸入されて広く利用されているのは主に以下の作物です。
- トウモロコシ: 食品、食品加工原料、飼料、工業用原料など、非常に幅広い用途で利用されます。
- 大豆: 食品(豆腐、納豆、味噌、醤油など)、食品加工原料、油(大豆油)、飼料など。
- ナタネ: 油(菜種油)、飼料など。
- ワタ: 繊維のほか、油(綿実油)、飼料など。
- テンサイ: 砂糖の原料、飼料など。
これらの作物は、そのままの形で私たちの食卓に並ぶこともありますが、多くは加工されて様々な食品の原料として使われています。特に、加工の過程で遺伝子組み換え作物が使われやすい食品があります。
遺伝子組み換え作物が使われがちな食品の例
遺伝子組み換え作物が使われる可能性がある食品は多岐にわたります。特に注意したいのは、加工食品や、原料としてこれらの作物が使われている調味料などです。
- 食用油: 大豆油、コーン油、菜種油、綿実油などは、遺伝子組み換えされた大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタを原料としている場合があります。これらの油は、様々な加工食品(スナック菓子、冷凍食品、惣菜など)の製造にも使われます。
- 醤油、味噌: 大豆を主原料とする醤油や味噌は、遺伝子組み換えされた大豆が使われている可能性があります。ただし、後述するように表示義務がない場合が多いです。
- コーンスターチや糖類: トウモロコシを原料とするコーンスターチや異性化液糖(果糖ブドウ糖液糖など)は、遺伝子組み換えトウモロコシが使われている可能性があります。これらは清涼飲料水や菓子、パンなど多くの加工食品に使われます。
- 砂糖: テンサイを原料とする砂糖は、遺伝子組み換えテンサイが使われている可能性があります。日本ではてん菜糖は多くが国産ですが、一部輸入の可能性があります。
- 家畜の飼料: 日本に輸入される遺伝子組み換え作物の多くは、牛、豚、鶏などの家畜の飼料として利用されています。家畜が遺伝子組み換え飼料を食べても、その肉、卵、牛乳に遺伝子組み換え体のDNAやタンパク質が検出されることは科学的に確認されていません。また、これらの畜産物には現在の日本の制度では表示義務はありません。
買い物時に知っておきたい表示のポイント
消費者が遺伝子組み換え作物が使われているかどうかを知るための手がかりとなるのが「食品表示」です。日本の遺伝子組み換え表示制度は、消費者が選択できるように定められています。
- 表示義務の対象: 主に、遺伝子組み換え作物が主要な原材料として使用されており、かつ、加工後も遺伝子組み換えされたDNAやタンパク質が残っている食品に表示義務があります。例えば、豆腐、納豆、冷凍枝豆、コーンスナック、ポップコーンなどです。これらの食品で遺伝子組み換え作物が使用されている場合は、「遺伝子組換え」と表示されます。使われていない場合は、「遺伝子組換えでない」または表示義務なしとなります。
- 「遺伝子組換えでない」表示: この表示は、意図しない混入が5%以下に抑えられている場合に表示できます。完全にゼロであるという意味ではありません。
- 表示義務がない食品: 遺伝子組み換え作物が主要な原材料であっても、加工の過程でDNAやタンパク質が分解・除去されてしまう食品には表示義務がありません。前述した大豆油、コーン油、菜種油、醤油、味噌、異性化液糖などがこれにあたります。これらの食品の原材料に遺伝子組み換え作物が使われていても、表示を見ても分からないことが多いのです。
- 外食や中食: レストランや惣菜店などで提供される食品については、現在の制度では遺伝子組み換えに関する表示義務はありません。
情報に基づいて賢く選択するために
遺伝子組み換え作物の安全性については、世界中の多くの科学的機関が、現在流通している遺伝子組み換え作物は従来の作物と同等に安全であるという見解を示しています。しかし、新しい技術に対する不安や、表示義務のない食品があることへの疑問をお持ちになるのは自然なことです。
この記事でご紹介したように、私たちが普段購入している食品の中には、遺伝子組み換え作物を原料としていたり、製造過程で利用したりしているものが数多くあります。特に油や醤油、砂糖といった基本的な調味料や、それらを使った加工食品は、表示義務がない場合があるため、見分けるのが難しいのが現状です。
もし、遺伝子組み換え作物の使用を避けたいとお考えの場合は、「遺伝子組換えでない」と表示されている食品を選ぶ、表示義務がない食品についてはメーカーのウェブサイトなどで情報を確認してみる、あるいは、国産の特定の品種や有機食品を選択するといった方法があります。
遺伝子組み換え作物に関する情報は複雑に感じられるかもしれませんが、どのような食品に使われやすいのか、そして表示にはどのようなルールがあるのかを知ることは、日々の買い物において、ご自身の判断基準を持つための第一歩となります。
GMOフロンティアでは、今後も遺伝子組み換え作物に関する様々な情報を提供してまいりますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。